2013年5月18日土曜日

長崎をぶらり散策⑬ 竜宮城のような門構え「崇福寺」

唐人屋敷を後にして、私はまたトラムに飛び乗った。今から訪ねるところは「長崎4大唐寺」の1つである 『崇福寺』というお寺。途中車窓からは、あの有名な「思案橋」を見ることができた。そして終点の「正覚寺下」というところで降りた。降りるとき、親切にも若い運転手さんは「興福寺」までの行き方を教えてくれた。トラムを降りて、街並みを見ながら歩いてみる。どうやらこのあたりは、「寺町」のようだ。坂道に面して、色々な宗派の寺院と線香や仏具を扱う商店が並んでいる。長崎市内の街は、名所旧跡への道のりを示す案内標がわかり易いように表示されているので、初めて訪れる観光客にとっては、とても有難い。案内標に従って、坂道を上っていくと、「崇福寺」の山門前に着くことができた。山門を見て驚いた。まるで昔話の絵本に出てくる「竜宮城」のような門構えなのである。黄檗宗に属する寺院で、寛永6(1629福建省福州出身の唐人の方々によって創建された。境内には、21もの文化財を有する。

崇福寺は3つの門扉がある 。最初にあるのが「崇福寺三門(楼門)」で、国指定の重要文化財の様だ。二階建ての楼門で、色が美しい。掲げられた扁額『聖寿山』は隠元禅師によるものだそうだ。




門をくぐり、さらに進んでいくと、次にまた門が見えてきた。この門は、「崇福寺第一峰門」と言う。こちらは、国宝である。この第一峰門の軒下は「四手先三葉栱」(よてさきさんようきょう)と呼ばれる複雑巧妙な詰組みになっている。よく見るとわかるのだが、極彩色の吉祥模様(宝づくし/瑞雲・丁子・方勝・霊芝)が見事に施されていて、しばらく見とれてしまった。この門をくぐり、門扉の裏側を見ると、ここにもう美しい彩色の彫刻が施されていた。青い蝙蝠(こうもり)と牡丹の花である。中国仏教の影響を受けた意匠が所々に散りばめられているいるのは、とても興味深い。蝙蝠は、「福」を、そして牡丹は「強さ」を表しているとのこと。



第一峰門の扁額。複雑な軒下の構造組物が特徴 


コウモリと牡丹の花。いずれも中国の吉祥文様


境内に入ると、煌びやかな刺繍の幕を張った、お土産を売る売店がある。そこには、珍しい色とりどりの縁起物である置物が、所狭しと並べられ売られ、まるで本当の中国の寺院に来たような気分を味わえる。




 
「護法堂」こちらも重要文化財である。ここには、「関帝」「観音」「韋駄天」がそれぞれ祀られている。










こちらは、「鐘鼓楼」。梵鐘と太鼓が重層部に置かれている。上層は,梵鐘や太鼓の音を拡散させるために、丸窓・火灯窓等の開放された開口部が多い。



 
こちらは、「媽祖堂門」と呼ばれるもの。媽祖堂に対する門と仏殿と方丈を連絡する廊下を兼ねている。




 
「媽祖堂門」を抜けた傍に、大きな魚の形をした板が吊るされているのが目に入った。何だろうと思って調べてみたら、これは木魚の原型だった。儀式の時や僧侶のみなさんに食事の合図をするときに叩かれるらしい。何で魚の形かというのが興味深い。魚は常に目を開けていることから「寝る間を惜しんで日々修行せよ」という戒めを表しているそうだ。この魚、口に玉のようなものを咥えている。これにも意味があって、この玉なんと「人間の煩悩」を表しているそうだ。で、魚をポンポン叩くことで「煩悩を吐き出させる」という意味を持たせているということを知り、仏教の奥の深さを感じた。


その先に進むと、「媽祖」をお祀りする『媽祖堂』がある。海上の安全航海を願って、海神である「媽祖」を祀ったところ。旧暦の3月23日には祭事が行われるとのこと。この「媽祖様」は女神だ。右側に「順風耳」、左側に「千里眼」が祀られいる。 順風耳千里眼の兄弟は、中国に昔から伝わる航海の女神“媽祖”の家来で、“門神”としてあらゆる災害から媽祖を守る役目を持つと言われているそうだ。









 
本殿である「大雄宝殿」。「大雄」とは、釈迦如来のことをさす。 正保3年(1646に創建ということで、長崎に現存する最古の建物とのこと。中には、釈迦如来像が祀られている。この釈迦如来像、珍しいことに「内臓」があるそうだ。昭和の初めに、仏像修理のため調べていたときに分かったらしい。銀製の五臓、布製の六腑を持つ仏像。う~ん中身が見てみたい気がする。













 
いやぁ本当にどれを見ても、とても魅力的な文化財を見るとことができてよかった。長崎にまた来た際には是非、ここに立ち寄りたいと思った。



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